育休から復帰して1年。今後のキャリアプランが見えない女の葛藤

育休から復帰する前と、実際に復帰した後では、自分の思い描いていたキャリアが困難になることもある。

上司や同僚に理解を得られているようで、得られていないこともあるだろう。周囲からの役割に対する期待や実態に悩まされるワーママも少なくない。

ほとんどの女性が、産後復帰した場合にみなし残業カットになり、時給換算になったりと、収入が激減するのも現実だ。自分のやりがいや目指すキャリア、実際にこなす業務内容の実態と、収入と…折り合いをつけるのも苦しいことがある。

今回は、ワーママとして働きやすい環境は整っているが、時短勤務では今後のキャリアアップが見込めない環境に育休復帰して1年。将来のキャリア設計に向けて、今なにを選択すべきかわからず悩む加奈28歳 のエピソードを紹介しよう。


気持ちとは裏腹にうまくいかない現実

中途入社で大手企業の総合職として働いていた加奈は、育休復帰して次の4月でちょうど1年が経つ。

復帰前は、産前と変わらない責任のある仕事を振ってほしいと上司にも伝えていた。しかし、実際に育児と仕事の両立はそう簡単ではなかった。

保育園に通い始めは、子供の発熱でのお迎えは日常茶飯事。
個人差はあるが、子どもの免疫がつくまで最低でも半年くらいは、多くの親が通る道だろう。

加奈は、復帰後は1時間の時短勤務になり、みなし残業代は全カットになった。しかし育休中に頑張ってくれていた後輩が、加奈の復帰後に転職。

2名のチーム体制からひとりになり、時短とはいえ業務量は以前と変わらない。そんなことはおかまいなしに、子どもの発熱や感染症で休まざるおえず、アウトプットが追いつかないこともある。

日々を過ごすのに必死で、気力体力ともに奪われてるなか、「今まで通りのパフォーマンスを出すことは、もうできないのかもしれないー」と、思い悩むこともある。

出産前までは、社内外問わず勉強会や会食などの交流会に意欲的に参加していた。
当たり前だが、産後はそういった夜の会に参加できる頻度は圧倒的に減る。そういう場に行けなくなることで、新しい出会いや新しい情報をキャッチアップする機会もなくなってきた。

そして同じような境遇のワーママに出会う機会がなく、自分だけがこんな状況に置かれてるのではないか、と相談できる仲間がいないと、ひとりで抱え込んでしまう。そんなスパイラルに陥っている。

育児と仕事の両立はできる。育児とキャリアアップとの両立は…?

社内での環境はというと、若い社員が多く、ワーママ自体が少ない。それがゆえ、ワーママだからといって特別扱いされることはない。育児と仕事の両立はしやすい環境だ。

しかし復帰後は、時短勤務の社員に対しての期待値が低いと感じることが多々ある。日々の言動などからも見受けられるし、徹底的な違いは評価方法がフルタイムの社員と異なるのだ。ボーナスの額も違う。

このまま今の職場で時短勤務を続けた場合、スキルアップや昇進・昇格は難しいだろう。

「これがワーママになった代償なのだろうか…」

加奈は、諦めの境地にいる。

転職を視野に入れてはいるものの、キャリアアップを置いておけば、環境的には上司に理解があり、融通もきいて働きやすい。周りでは組織や上司の理解がないために、苦しい環境に置かれているママ友もいる。それを考えると、恵まれているとは思う。

たとえ転職することでキャリアアップは実現できても、必ずしも環境も同じとは限らないだろう。子を持つ身としては、かなり慎重に転職や今後の身の置き方を考えないとならない。

そう思うと…いつも踏み留まってしまう。

今の職場で自分で切り拓いて会社側と折り合いをつけることがベストなのかー。
そこでキャリアアップを目指すのが最良なのかもしれないー。

そこには、見込みが薄いのはわかっている。
でも、一歩踏み出すきっかけがなかなか掴めない。

それは母になり、自分だけでなく子どもの成長や第二子のタイミング、10年後のキャリアを考えたとき、自分が今どんな選択を取るのが正解なのかわからないのだ。

キャリアアップはしたいが、どういう形でキャリアアップしていたいか?といった解が見いだせていない。

役職がほしいのか?
今の職種でスペシャリストになるのか?
はたまた職種転換するのかー。

心身ともに毎日が体力勝負になっている今、子どもの体調不良以外で自分のために使う有給ない。自分自身がリフレッシュできる機会もなく、ゆっくり今後のキャリアについて考える時間もなく、日々が過ぎていく…。

そんなとき、夫の昇進に伴う配置転換が発表された。平日でも家事に育児に協力的な夫が、今後は平日ほぼ頼れなくなることが確定。私は、これからどうするのだろう。


世の中にこういった体験談が出ていないだけで、同じような経験している女性は少なくない。

「仕方ない。ワーママの代償だ…」と諦めてしまう女性もいるだろう。

これだけ多様な働き方が増えている中で、いまだに場所と時間に拘束される働き方を余儀無くされる。働き方改革がもうすぐ施行される今、このようなワーママが自分の選択肢となるモデルケースをどれだけ知ることができるか、という観点も重要ではないだろうか。

同じような境遇で乗り越えたワーママのエピソードを知るだけで、乗り越えられる勇気をもらえるかもしれない。

次回は、このような産後のキャリアの壁を実際に乗り越えた働く女性のエピソードを紹介します。