突然の妊娠発覚。安定期までの期間、働く妊婦を取り巻く環境は、想像以上に過酷だった

転職して一年、慣れないなかで奮闘していた結果が、やっと実を結び始めた矢先…予期せぬ妊娠が発覚。これから異動と海外出張も控えているのに…社内への報告はいつすれば…?海外出張へ行っても大丈夫?

今回は、予期せぬ妊娠に喜びとともに、戸惑いや不安でいっぱいの30歳茜が、妊娠発覚から妊娠中にとりまく環境について、赤裸々に綴ります。


結婚2年目。

もし子どもができても、産後すぐに復職して、絶対に仕事は続ける

それが、結婚前からの夫との約束だった。

昨年転職したばかりの会社は、実力主義。

年功序列という言葉は存在せず、非常にチャレンジングな職場だ。

慣れないながらも1年間ひたすら仕事に邁進した結果、上司やクライアントからも評価され、昇進が確定。ついに、新規プロジェクトを担う部署への異動が決まったのだ。

海外出張目前に、突然の妊娠発覚

キャリアが順風満帆な矢先だった。そういえば、生理がこない…。

妊娠するはずはないと、思いながらも半信半疑で妊娠検査薬でチェックすると、すぐに「陽性」反応。頭が真っ白になった。

「来月異動だし、今月末は海外出張が入ってる…どうしよう…」

翌日、産婦人科での検査の結果、やはり妊娠していた。

「おめでとうございます。妊娠4週目ですね」

医師の言葉を聞くも、あまりに突然のことで戸惑いを隠せない。

自宅に戻り、まずは夫と話し合った。

「子どもを授かったからには、絶対に産みたい。まずは仕事のことを整理しないと」

ところが、妊娠4週目では心拍も確認できないため、当然のことだが母子手帳はまだもらえない。

安定期なんてまだまだ先のことで、職場に伝えていいのかさえも判断できない。

「でも、ここで仕事やキャリアを止めるわけにいかないーー」

妊娠発覚から2週間後。会社には妊娠の旨を告げず、クライアントとの海外出張へ出かけた。

妊娠初期とはいえ、海外に出ることは多くの危険や心配事が伴う。夫や両親にも理解してもらい、最後は自分の意思で行くことを決めた。

もしものことを考え、唯一同行していた同僚には「妊娠している」とは伝え、妊娠中でも入れる保険にも加入し、出国した。

出張先で勧められたお酒、どう断る?

ところが、妊娠中に誰もが体験する問題に直面することとなる。

訪問理由であったとあるイベントに参加した際、イベント主催者からお酒を勧められたのだ。国の文化として、勧められたお酒は通常断らないのが原則だ。

主催者からのお酒は断りづらい…クライアントにも迷惑をかけてしまうかもしれない…。でも、私のお腹の中には赤ちゃんがいる…お酒は飲めない。

周囲の気遣いもありなんとか飲酒はせずに済んだが、妊娠していることを伝えられないもどかしさや、孤独感が押し寄せた。今まで仕事では味わったことのない思いだった。

お腹を下したり、異国の料理の臭いで吐き気を感じる悪阻があっても、何かしらの理由をつけなくては、気軽にお手洗いにも行けない。

喫煙も然り。同行者の中に喫煙者がいれば、当たり前のように喫煙席に座らなくてはならない。

一般的には、“妊娠を会社に伝えるのはいつ?”という問いには、安定期に入った5ヶ月ごろと答える人が多いだろう。

しかし、その“安定期”に入るまでの間に、妊婦には予期せぬ出来事がたくさん起き、様々な制約を受けているのに、妊娠していることを周囲に伝えられない。

“様子がおかしい時期”が3ヶ月も続けば、上司やクライアントからの信頼を失ってしまうかもしれない…。

出産後に戻ってきたときに自分の居場所は残っているのだろうか…。

漠然とした不安が何度も押し寄せた。

母親としての自覚

そんな風に仕事に対する不安を感じる一方、検診で見るエコーに映る我が子を見るたびに、愛おしさがこみ上げ、徐々に母親としての意識が芽生えてきた。

「仕事のことばかり考えてしまっている…赤ちゃんにとっては大事な時期なのだから、第一優先にしなくては。まずは安定期までの辛抱だ」

そう言い聞かせ、新しい部署に異動した後も、可能な限り飲酒を伴う場への誘いはなにかしら理由をつけて断る。

満員電車もなるべく避けられるよう、早めの時間帯に出勤し、退勤も比較的混まない時間帯や車両を選んだ。

仕事やキャリアへの不安と同時に、芽生えてきた母親としての自覚。
葛藤の中、茜はなんとか安定期を迎えた。

(次回に続く)


次回は、安定期から産休に入るまでの働く妊婦のリアルをお伝えします。