上司への妊娠報告、思うように動かない身体…働く妊婦が抱える不安との向き合い方

転職して新しい環境でやっと成果を出し始めた矢先の予期せぬ妊娠。仕事やキャリアへの不安と同時に、芽生えてきた母親としての自覚。
不安と葛藤の中、妊娠報告をしないまま異動と海外出張を乗り切り、茜はなんとか安定期を迎えた。

▪第一話 突然の妊娠発覚。安定期までの期間、働く妊婦を取り巻く環境は、想像以上に過酷だった

安定期を迎え、上司や同僚の反応に不安を抱きながらもついに妊娠報告する茜。今回はそのリアルな不安や葛藤、そしてそれを乗り越えた先の決意を赤裸々に綴ります。


働く妊婦の最初の壁、妊娠報告

そろそろ上司に妊娠を伝えないといけない。

異動してきたばかりの部署で、まだ上司やチームのメンバーとはまだそれほどうちとけていないけど、妊娠のことを理解してくれるのだろうか…。

妊婦の事情を職場の人に理解してもらえず、辛い思いをしながら働く妊婦生活を送っている知人は何人も知っている。

それを見て子どもを持つことを諦めた女性の先輩も数人知っている。

私はどうなるんだろう…

上司には子どもがいるものの、チームメンバーに子どもがいる人はいなかった。

漠然とした不安を抱えながら、意を決し茜は、まずは上司との面談を願い出た。

「実は…今妊娠しており、5か月に入って安定期を迎えたところです。異動してきたばかりで、これからという時にご迷惑おかけしてしまうと思うのですが、申し訳ありません」

恐る恐る、上司の返答を待つ…

「おお!それはおめでとう!体が第一だから、とにかく無理はせず、協力できることは言ってよ」

妊娠を”責める”ことなく、祝福してくれた上司の言葉に、茜はほっと息をついた。

後日チームメンバーからも

「悪阻で体調がすぐれない時は言ってくださいね!」などと温かい言葉をもらい、茜は決心した。

今のわたしに出来ることをしっかりやって、産休に入ろう。赤ちゃんもきっとわかってくれるはず。

不安を打ち消した上司のひとこと

しかし、妊娠している身で、仕事をすることはそんなに簡単なことではなかった。

体調が優れないことも多く、お腹が大きくなるにつれて体も思うように動かなくなってきて、朝夕の通勤も苦しい。

ビジネス街を歩く人達の歩くスピードは速く、いつも神経を張り巡らせなければならない。

今までは徹夜だって難なくこなせたが、今はお腹に赤ちゃんがいるから、しっかり栄養をとって休まないといけない。

クライアントとの食事会も気軽には行けないし、お気に入りのデザインだった10センチのヒールも履けない。

同僚は当然のように国内外の出張に出ているが、自分は控えた。

また漠然とした不安が押し寄せる。

復職した時に自分の居場所は残っているだろうか?復職してからのほうがもっとハンデを負うのに…

仕事量をある程度セーブしながらも、産休を迎える日が近づいてきたある日、上司と面談をしていた時のことだった。

「あと1週間で、産休を頂くことになっています。今もチームに迷惑をかけてしまっているのに、復職してからのことを考えると不安で…申し訳ありません。」

すると上司は

「謝ってばかりいないで、茜さんが今一番に考えなければならないことは、お腹の子どものことでしょう。母親が必要以上に不安を感じていたら、赤ちゃんだって安心して生まれて来られないよ?いままで全力で仕事してきたんだから、自信を持って産休に入って、しっかり元気な赤ちゃんを産んできて!戻ってくるのを待ってるから!」

その言葉は、不安しか感じていなかった茜の意識を変えた。

今まで仕事で色んなことが起きても、ひとつひとつ向き合って対応してきた。大丈夫、きっとどんな状況になっても、乗り越えていけるはず。

今は赤ちゃんを迎える準備をしっかりして、安心して生まれて来られるようにしてあげよう。これは“私にしかできないこと”だ。


出産後も仕事を続ける女性の割合は、20年前と比較して約15%も上昇しています。(内閣府『仕事と生活の調和レポート2017より』)

それでも妊娠している女性や、子育てをしながら仕事をする女性への理解や配慮は世間に十分に浸透しているわけではありません。

異性の上司や同僚だけではなく、同性からでさえ、いじめや陰口の対象になったりするケースも多いのが現状です。

茜のように周囲の環境には恵まれている場合でも、一人で不安や悩みを抱えているキャリア女性は多いのではないでしょうか。

女性がキャリアを積んでいく上で、妊娠出産が”不安要素”になるのではなく、”相乗効果”となるような社会を目指して、Mrelationsでは今後も働くママや妊娠中の女性のリアルをお届けします。