平成最後の夏なのに、仕事と育児の悩みは昭和から変化していない

今の日本でどれほどの女性が、育児も仕事も自分に使う時間をも諦めずに人生を全うできるのでしょうか。出産を機に会社を辞める女性、復帰したとしても辞めざるをえない女性は、いまだに多いのが現実です。

第一生命経済研究所の試算によると、出産を機に仕事を辞める女性正社員やパート・派遣労働者などは、年間で20万人にのぼるといいます。女性活躍推進、働き方改革が国で動き始めているが、現実は課題が山積み。女性の退職による生産力低下などの企業の損失は、総額 約1.2兆円にのぼるという試算が。

産後に復帰するも、即戦力から外される、降格や必然的にパートに切り替えられてしまった…等の以前と同じ業務につけない…という経験談も少なくありません。

こんなに便利になっている世の中で、なぜ妊娠・出産・育児についての悩みや社会問題はここ数十年ずっと変わらないのでしょうか。

10年以上前の2007年の育児サイト『ベビータウン』の「仕事と育児・両立の悩み」特集のアンケート結果を見ると、仕事を続けたいママのうちの7割が「続けられる状況にある」と答えていますが、残りの3割は「続けたいのに難しい状況」、「続けたいけれどまだどうなるかわからない」という不安や悩みを持っていることがわかります。

参考:HTTPS://WWW.BABYTOWN.JP/B/CHILDCARE/WORKING-MOTHER/BT0642.HTML

10年以上前の働くママの悩みと、現代の働くママの悩みと変化がないのです。

さらに、30年前の主婦の友に掲載されている「仕事と育児の悩み」を見てみると…

–「無職だと保育園でなかなか子どもを預かってもらえない」(30代)
-「学童保育の施設が狭く、外遊びをさせてもらえない」(30代)
-「小学校4年生になると学童保育が利用できないが、留守番させるのが心配」(30代)
-「再就職したが、夫が家事を手伝ってくれない」(40代)
-「途中入社を気に入らない人に無視される」(30代)

参考:HTTPS://ITMAMA.JP/2014/07/31/64342/

といった現在でもメディアで日々取り上げられている悩みとほぼ変化していないことがわかります。もう平成最後の夏なのに…。

情報過多の世の中で、妊娠・出産・育児にまつわる事だけは情報格差が起きている

こんなに情報が溢れている世の中で、なぜ妊娠・出産・育児についての悩みや、それに纏わる社会的問題がここ数十年ずっと変わらないのでしょう。

あらゆる女性向けメディアが増え、ネットで検索すれば「妊娠」「出産」の情報がすぐに出てくる時代。しかし、実際に参考になり自分自身が取り入れられる「先輩ママの実体験に伴う情報」が少ないために、不安を出来る限り解消することもできず、「出産してみてないとわからない」「何か壁にぶつかってから考えるしかない」と覚悟をせざるおえない。そのため、突然訪れる緊急事態にあたふたしてしまうのです。

しかし妊娠・出産経験のある働く女性は、みな同じ悩みに直面しています。しかし、何年経っても解決に至らないのは、自分にとって、自分の周りにとって必要な情報が分からないから。

筆者は、実際に妊娠・出産して、初めて気づいたことがたくさんありました。

まずひとつは子育て未経験者にとって、子育てママパパを理解するうえで「知らない」、「想像もつかない」ことが多いのです。そのため、例えば「子どものいない上司に理解してもらえず、風当たりが強く仕事を辞めざるを得ない」などといった事態が発生してしまうのではないでしょうか。

企業は、女性を採用しているのに経営者やマネジメント層が「知らない」「知ろうとしない」ことが多い。そして当事者のママ側は、解決したいけど余裕がなく、仕事と育児に日々追われている…そうすると日々の悩みは愚痴へと代わり、解決せずに負の連鎖が続いていってしまうことも。

筆者も、妊娠中に急にやってきた重いつわりに苦労しました。想定外だったので、仕事のスケジュールはパツパツで穴は空けられない状態。無理をした結果、原因不明の出血がつづき絶対安静になったの経験があります。

周りに状況を理解してもらえるよう、必要なエビデンスや情報を見つけようと思っても情報がないのです。そこにさらに追い打ちをかけ、「産後はこうあるべき」というような事実に基づかない「3歳神話」などの情報が溢れています。

各家庭によって子育ての環境が違うように、必要な情報がみな同じ訳ないのです。

数十年変わらない負の連鎖を止めるには

どのようにしたら、数十年と変わらない働くママの悩みに歯止めをかけれるのか。
そう考えていたとき、ママにはステークホルダーがとても多いことに気づきました。

ステークホルダーとは、従来「企業の活動によって直接的・間接的に影響を受ける人々や団体など利害関係者のこと」を指します。ここでは、ママにとってのステークホルダーは、仕事と育児を両立する上で欠かせないキーパーソンだと考えます。

働くママたちは、日頃からそれぞれのステークホルダーに向けて、毎日のように無意識にあらゆる情報発信・交渉をしていることに気づきました。

たとえば

-夫に保育園の送りをお願いするとき、家事をお願いする

-急な発熱で保育園へ預けられない時に、仕事関係者への交渉

-急な残業で保育園へ連絡する

-家族全員が体調を崩した時の、実親に応援要請をするとき

など。

日頃から働くママが周囲と良好な関係が築ければ、ママ自身の負担の軽減、ストレスの軽減、そしてママの周りの方々のストレスも軽減されるのではないでしょうか。ママのステークホルダーとの関係構築が上手に行けば、ママの周りの環境も必然と良くなっていくのではーー。そう考えました。

スーパーママを目指したいわけではない

よく「育児と仕事を両立するママ」として、メディアやイベントで紹介されるママさんたちは、本当にすごいんです。日が昇る前に起きて仕事や家事をしたり、平日の育児は実親やシッターにまるっと任せて昼夜問わず働かれていたり。「すごい!!」と尊敬の眼差しにはなるものの、いざ自分に置き換えたときに取り入れられる要素がないんです。それはそれはスーパーママすぎて…。

そこには世代の違いもあるかもしれません。
いわゆるミレニアル世代は、育児をまるっと実親やシッターにお任せしたいわけではない。できることは自分たち夫婦で協力しあう。かといって「育児をメインにする」というわけではありません。

自分の築いてきたキャリアを継続して、やりがいのある仕事をしていきたい。
子どもと過ごす時間も大切にして育児も楽しみたい。

仕事か育児かの二者択一ではなく、どちらも両立しながら、”自分たちなりの幸せを自分たちで創り上げていく”世代でもあります。

働くママにロールモデルは必要ない

数十年と働くママの悩みに変化がないのだから、そこにロールモデルがないのは当たり前。

育児や仕事の考え方、家庭の環境によって、働くママは多種多様。ロールモデルは誰でもない「自分」なのではないでしょうか。

働くママが堂々と育児も仕事もして、自分の時間も持てる世の中に。ママばかりが我慢を強いられ、ストレスを溜めるのはおかしいーー。

でも、現状ではまだまだママが変わらなければいけないことが多すぎます。

喜ばしいライフイベントである結婚・出産を機に、別のなにかを諦めたり、そこに纏わる負担を女性ばかりが背負うことを無くしていきたいのです。

結婚・出産しても、変わることなく”自分らしく”いるために。

M relationsでは、ミレニアル世代の働くママが”自分らしく育児と仕事を両立する”ことの手助けとなる情報発信やリアルイベントなどの活動をしていきます。

今の子育てしづらい日本の環境を、自分の子どもたちが親になったときには状況が改善していてほしいと心から思います。多様性のある生き方を選択し、お互いの様を受け入れられる社会にするために。