「わたし、更年期」とカジュアルに言える社会を作りたい。更年期向けサービスを立ち上げた高本さんが考える、夫婦間のコミュニケーションで重要な3つのポイント

高本玲代さんプロフィール

株式会社uni’que(ユニック)のインキュベーション事業「Your」(ユア)の仕組みを活用し、2020年4月から更年期夫婦向けのコミュニケーションサービス「wakarimi」(ワカリミ)を展開。現在はサービス運営や企画開発に携わる。夫婦カウンセラー。

新卒でセブン&アイに入社。その後帝人を経てスタートアップの世界へ。2016年には米国でMBAを取得。2018年と2019年には、自身が関わるヘルスケア事業が、シリコンバレーのプログラム「500KOBE」に採択される。2020年「APT Women(東京都女性ベンチャー成長促進事業)」にwakarimiが採択される。

高本さんが展開されているサービス「wakarimi」(ワカリミ)について、詳しく教えてください。

ワカリミは、女性の体調が対話アプリのLINE(ライン)によって提供されるサービスです。機能は4つあります。

一つ目は、日々の女性の体調がパートナーに共有されること。二つ目は、1か月でどれくらい不調があったかがデータ化され、共有されること。三つ目は、男女双方に更年期について知ってもらうこと。そして四つ目は、コミュニケーションに介入し、更年期の夫婦にとって心地よい在り方を見つけてもらうことです。女性特有の悩みをITの力で解決する、Femtech(フェムテック)と呼ばれる領域のサービスです。

ライフイベントとして大きな出来事の一つである出産は、「子ども」という共通の素晴らしい財産ができますよね。しかし更年期で体調が悪いという症状は、どうしても主観的な要素が強いため、パートナーに伝えづらいのが現状です。そこでワカリミでは、ご夫婦間でルールを決めるためのコミュニケーションを促し、更年期の症状や知識を提供しながら、心地よい関係の構築をサポートしています。

年齢や症状が幅広い、女性特有の更年期症状

更年期というのは、具体的に何歳ごろから症状が現れてくるものなのでしょうか?

更年期とは一般的に、閉経を挟む約10年の間(45~55歳)に生じる心身の大きな変動期を示します。しかし近年では「若年性更年期」に悩む30代の女性もでてきています。無理なダイエットや過剰なストレス、睡眠不足といった自律神経の乱れが原因と考えられています。

医療の分野で更年期に関しての本格的な研究が始まったのは、実は数十年前からと、あまり研究の歴史は長くありません。現在では残念ながら、学校や家庭で更年期の正しい知識を学ぶ機会もほとんどありませんよね。

更年期の不調については男女共に正しい知識が不足しているため、受診のタイミングが難しく、約半数の女性が誰にも相談できずに一人で不安や症状を抱えこみ、悩んでしまう状況も多く発生しています。

若い世代でも更年期になるケースがあるのですね。

さらに更年期が難しいのは、人によって症状が大きく異なる点にあります。主な症状としては、自律神経の乱れから起こる疲労感や動悸、息切れ、のぼせやほてり、発汗の異常などが挙げられます。また、落ち込みやイライラ感、そしてめまいに悩む方も多いですね。更年期に何らかの課題や悩みを抱える女性は、国内で840万人ほどいると言われています。

更年期を迎えた女性は、自身の心身の不調に悩みながら、責任ある仕事や子育て、そして介護などと向き合わなくてはいけません。そのため更年期というのは、幸福度が一番下がる時期となることが幸福度の調査で分かってきています。そして、残念ながら女性の状況に引きずられてか、パートナーの幸福度も同じ時期に下がる傾向があります。そういった辛い時期に正しい知識があるだけで、生活の満足度は大きく変わっていくはずです。

そこで当社は夫婦間のコミュニケーションに介入することで、それぞれの家庭によって心地よい「夫婦の在り方」を見つけ、更年期を乗り越えるサポートを行っています。現在は健康経営や女性のヘルスケアに取り組む企業や自治体との協業を目指しています。更年期は女性の5人に1人が離職をしたり、半分以上が昇進を断る大きな原因の一つにもなってしまっているため、会社としても大きな損失です。海外の企業は既に対策をおこなっています。そこで私たちも、企業用の研修プログラムを注力的に展開し始めています。

自身の悩みや課題から着想を得た新サービス

更年期向けのサービスを手がけられるなかで、高本さんは夫婦間のコミュニケーションにおいて、どういったポイントが重要だとお考えでしょうか?

重要なポイントは3つあるように思います。一点目は、お互いの「違い」を当たり前として認識することです。なんとなく多くの方々が、夫婦というものは「同じ意見や同じ価値観を抱いていなくてはいけない」という幻想をお持ちのように思います。ですがいくら夫婦といえども、それぞれ育ってきた環境は全く異なる、いわば赤の他人です。だからこそ違った意見や考えが重なっていない部分を認める必要性があると感じています。

二点目は、.相手にしてほしいことを具体的に言語化すること。「どうしてわかってくれないのだろう?」とイライラしてしまうことは、皆さんにもご経験があるのではないでしょうか。悩んでいる時こそ、きちんと自身の考えを相手に「わかりやすく」伝えることで、解決できる問題が多くあるはずです。「言っても仕方がない」と思って遠慮してしまうのは、非常にもったいないですね。

相手と自分の当たり前が違うことを踏まえて、建設的にコミュニケーションを取ることが大事なのですね。

女性のなかには、自分の意見や考えを受け入れてもらえない時のショックを避けるために、自ら天井を作ってしまうケースがあるように思います。そこでおすすめなのが、まずはパートナーに話を最後まで聞いてもらうことを目的にすること。そのためには「まずは最後まで話を聞いてね」と伝えながら、自ら具体的に何を受け入れてほしいかを発信する努力を続けることが重要です。

ありがとうございます。三点目はどういったポイントでしょうか?

最後は「ありがとう」をきちんと伝えることに限ります。これは職場でも家庭でも当てはまるコミュニケーションの重要なポイントですね。相手をみる時には、マイナスなポイントではなく、プラスなポイントをみる加点形式を採用してみてください。幸福学の調査では、1日4回以上「ありがとう」と伝える人は、4回未満の人に比べて幸福度が高く、年収も高いというデータがあります。まずは相手の行為に対して、感謝することを習慣づけてみると、日々の景色が変わってくると思います。


今回は、2020年春に更年期夫婦向けの新サービスを立ち上げた高本玲代さんにお話を伺いました。

自身の原体験を発端に行動に移し、更年期という「社会課題」の解決を目指されている高本さん。「もっとカジュアルに更年期と言えるような社会にしたい」という言葉には、とても強い志を感じました。

今後は企業向けの研修プログラムを充実していかれるとのことで、ますます期待も高まります。ぜひ最新の情報はこちらからご確認ください!